将棋「魂の七番勝負」、「若手」VS「トップ棋士」の対戦を棋譜付きでご紹介

2017年10月17日

【 本記事のターゲット 】

  1. AbemaTV 魂の七番勝負が気になる
  2. 若手とトップ棋士、強いのはどっち??

以前Abema TVで一気に藤井四段が有名になった将棋イベント、「炎の七番勝負」をご紹介しました。

ここで当時の羽生三冠を中学生四段棋士(藤井聡太四段)が破ったという事で、Abema TV内だけではなく連日のようにニュースでも放送され、そしてその後プロ棋士新記録となる29連勝を達成致しました。

最近では菅井達也王位、中村大地王座と若手棋士がタイトル戦に登場してタイトルを奪取するという光景がかなり目立っています。

そんな中、皆さんこのように思う方が多いかと。

  • ベテラントップ棋士と若手棋士って実際どちらが強い?

そんな思いを実現させた第2弾Abema TV将棋イベント「魂の七番勝負 - 若手 vs トップ棋士 -」が開催されましたので、各対局内容を棋譜付きでポイントを絞ってわかり易くご紹介します。

目次

Abema TV将棋「魂の七番勝負」対戦メンバー一覧

ではまず今回のイベントに登場する若手7名とトップ棋士7名をご紹介します。※段位、年齢は2017年10月時点の情報です。

若手チーム

1.青嶋未来五段(22歳)
2016年度勝率1位、竜王戦ベスト8、チェスの日本チャンピオンとして羽生三冠とも対決経験があるそうです。

2.佐々木勇気六段(22歳)
16歳でプロデビュー、2016年棋王戦挑戦者決定戦進出。藤井聡太四段を29連勝でとめた事でも有名になりましたよね。

3.近藤誠也五段(20歳)
2016年王将リーグ入り、四段で羽生三冠にも勝利した事があります。

4.八代弥六段(23歳)
2016年朝日オープン優勝経験あり。

5.増田康宏四段(19歳)
16歳でプロデビュー、新人王戦優勝。藤井四段との対戦はアツかったですよね。

6.佐々木大地四段(22歳)
藤井聡太四段と同年で昇段、デビュー1年目で勝率7割を超え、史上初のフリークラス1年で脱出。

7.藤井聡太四段(15歳)
皆さんご存知史上5人目の中学生プロ棋士。歴代最多公式戦で29連勝を成し遂げ、AbemaTV「炎の七番勝負」では羽生三冠をも破った事で一気に有名になりました。

トップ棋士チーム

1.森内俊之九段(46歳)
タイトル12期(タイトル戦登場25回)、永世名人資格保持者。羽生先生との名人戦勝負はまだ記憶に新しいですよね。

2.三浦弘行九段(43歳)
タイトル1期(タイトル戦登場5回)、羽生七冠の牙城を崩したのは三浦先生。

3.藤井猛九段(46歳)
タイトル3期(タイトル戦登場7回)、藤井システム開発者、振り飛車の達人。

4.屋敷伸之九段(45歳)
タイトル3期、史上最年少タイトル挑戦、最年少タイトル獲得の記録を保持、16歳でプロデビュー。

5.郷田真隆九段(46歳)
タイトル6期(タイトル戦登場18回)、居飛車正統派。

6.木村一基九段(44歳)
タイトル戦登場6回(棋戦優勝2回)、千駄ヶ谷の受け師、矢倉の達人。

7.行方尚史八段(43歳)
タイトル戦登場2回(棋戦優勝2回)、名人戦で羽生先生と対戦した記憶もまだ新しいですよね。

「魂の七番勝負」対局日程、対戦相手一覧

さて、今ご紹介した若手とトップ棋士、どのような対戦カードになっているのか気になる所...対戦日程と対戦相手の一覧は下記の通り。

出典:Abema TIMES

今回持ち時間は各2時間、持ち時間を使い切ったら一手60秒以内で指すというルールになります。

という事で、それぞれの対局に関してmog目線になりますが若干の解説付きで棋譜を元にご紹介したいと思います。多少間違っていてもmogレベル(二段程度)なのでご容赦下さい。

第一局:屋敷九段 vs 佐々木大地四段

出典:Abema TIMES

ではまず第一局、佐々木大地四段 vs 屋敷九段の対戦をご紹介します。全部で七局あるので、ポイントを抜粋してなるべく分かりやすくご紹介します。先手が佐々木四段、後手が屋敷九段になります。

戦型は相居飛車

まずは戦型ですが、お互い居飛車という形になりました。横歩取りの戦型に近く、玉がお互い囲わずに中央居玉といった形になっています。

途中佐々木四段に悪手?

しばらく局面が進んで、お互い角交換して佐々木四段が攻めている所なのですが...ここで上記のように▲2三歩成と指します。

ここで解説をしていた深浦先生が「大丈夫が?弟子?」と...確かに2四歩から2三歩成となった意味がよくわからない...※深浦先生と佐々木四段は師弟関係になるようです。

一応解説では、△同銀、▲5三桂馬也、△同玉、▲2三角成と進むんじゃないかと深浦先生も解説していましたが...ここは単純に▲3二歩成がベスト、これは「やらかした」と...

佐々木四段も感想戦にて「この辺りは読みが雑というか...正直覚えていない」と...どうもかなり焦っていた様子でした。

終盤で佐々木四段が追い上げる

がしかし、終盤になって確実な手を指し続ける佐々木四段。

丁度上記場面で解説に深浦先生が戻ってきたタイミングで上記好手が飛び出しましたと絶賛。元々▲5三馬といた所、単に▲5二馬と金を取るのではなく、▲7五馬と引いて飛車取り&香車で金取りの両取りにした所。味がいい手ですよね。

最後は1手勝負で

その後佐々木四段が優勢に進めていましたが、最終局面ではさすが屋敷先生。1手勝負のギリギリの局面まで進めましたが、最後は上記89手目▲6二金打ちで佐々木四段の勝利となりました。

という事で、まず若手1勝目。

第二局:藤井九段 vs 佐々木勇気六段

出典:Abema TIMES

では次に第二局、佐々木勇気六段 vs 藤井九段の対戦をご紹介します。

同様にポイントを抜粋してなるべく分かりやすくご紹介します。先手が佐々木六段、後手が藤井九段になります。

藤井システム発動♪

まずは出だし、これはもう視聴者の為に戦型を選んでくれたように思われる藤井システム発動♪角道を止めてからの四間飛車。

一方佐々木六段は居飛車のままゆっくり進むかなと思ったら、△6四歩を見て▲5五角と積極的にコマを動かしていきます。

中盤は手の出しどころに困り藤井九段が長考

中盤に入り、かなり難しい駒組みとなりました。中々思うようにさばけない...基本振り飛車側は飛車角を上手くさばけるかどうか?という所が重要。久保先生とかもそうですよね、さばきのアーティストと呼ばれるような華麗に大駒をさばく手筋は本当に美しいです。

が、藤井先生はかなり苦戦をしているように見えます。逆に若手の佐々木六段の方が冷静沈着。かつて羽生世代がそうだったように...持ち時間をみても差が明らか、佐々木六段は50分近く時間を残しているのに対して、藤井九段はすでに10分を切っている状態。

一見藤井九段が良さそうに見えるが...

とはいえ、何とか相手陣地に駒を進めて後手が龍と馬を作る事に成功します。上記局面だけみると、藤井九段が優勢に見えるのですが...

解説によると、現状藤井九段のコマは全て当たっていて、どれか一つでも欠けると駒損をしてしまう状況です。

藤井九段はかなり困った様子...ここで仕方が無く△5七龍と大駒を切ったと思ったのですが、この後▲同金、△4八馬と両取りに...しかしこれは佐々木六段の読み筋で▲6一銀と素早く反撃。

コマの損得だけ見れば、ほとんど一緒なのですが...昔はコマを沢山取った方が勝ちと言われていた時代もありましたが、現在は終盤に関してはコマの損得ではなく働きを重視しないとという解説がされていました。

終盤佐々木勇気六段優勢

この後藤井九段が△3九馬と飛車をとり、▲7二銀成、△同玉と進んだ場面で▲2二飛打!これが強力。藤井九段も両手を頬に当ててかなり困っている様子...

△5一銀打と受けに回りますが、数には数という事で▲4二金打。

この金打ちを防ぐ手段が難しく、一方佐々木六段の陣地は△5七馬と金を取られても、まだ詰みまで手数が掛かります。一方藤井九段側の陣地は金銀が剥がれると一瞬で詰んでしまう局面となってしまい、上記局面の83手目で佐々木六段の勝ちとなりました。

さて、これで若手が2連勝♪やはり若手は強いのか...

第三局:行方八段 vs 藤井四段

出典:Abema TIMES

では次に第三局、藤井四段 vs 行方八段の対戦をご紹介します。同様にポイントを抜粋してなるべく分かりやすくご紹介します。先手が行方八段、後手が藤井四段になります。

戦型は相矢倉かと思われたが...

序盤はお互いしっかりを駒組みをするのかな...と思っていたのですが、藤井四段が積極的に右四間飛車で角筋を通しつつ桂馬銀全て攻めゴマを使って6筋に仕掛けて行こうという感じになりました。

何度か藤井四段の対局を見ているんですが、基本攻め駒と言われている飛車・角・桂馬・銀が全部動いている事が多いんですよね。一方行方八段の陣地はまだ飛車の下に銀が居たりと飛車先の歩を交換した手数からかまだ不安定...

昔(今も?)は飛車先の歩を交換した方が得だと良く言われたのですが、こう言った局面を見ると必ずしも飛車先の歩の交換は得ではないように思えます。

中盤5筋・6筋で激しい駆け引き

藤井四段が6筋を仕掛けたのが5筋にも戦いが広がり、さらに7筋の桂馬の頭まで攻めが広がっている状況です。今▲7四歩と突いて佐藤名人の解説では△同銀、▲3四飛車と出て、飛車の横効きで5四の歩と7四の銀を狙うのでは?という話しだったのですが、ここで藤井四段が△7七歩打。

同角は桂馬が跳ねて当たりになるのと、同銀や同桂馬だと銀がタダになる、もしくは同様に桂馬で当たりになる状態。ここで行方八段が指した手はこの歩を放ったらかして▲7三歩成、当然藤井四段は△7八歩成と一気に激しい戦いとなりました。

角取らずの王手角が素晴らしい♪

局面は進み、行方八段が結構いい感じで攻めを繋げており、上記図にて7四の飛車が無い状態で▲4四角と出た局面。これ△同歩だと▲5四角打の王手飛車があるのでどうなんでしょう、これが決まると先手優勢かも...と解説で説明していた所、藤井四段が指した手は△7四飛車打ち。

同歩の場合は王手飛車が見えているので、わざわざ歩で取れる角を取らずに王手をかけながら歩を動かさずに飛車で角を取る&5四の地点の王手角の手筋を消すという好手。mog自身対局を見ていて、この手で一気に流れが藤井四段に傾いた気がします。

さすが詰め将棋の天才、終盤完璧な指し回し。

終盤に入り、詰めろ詰めろで行方八段の玉に迫って行く藤井四段。しかし行方八段も指し手を間違える事無く受け流していたかのように見えました。

しかし、藤井四段の確実な攻めにて上記局面まで追いやられます。藤井四段が△6四桂打と指した場面。一見手持ちの駒が金と歩しかなく、行方八段の陣地には6五の地点に桂馬が効いているので解説の方もこれは逃げられてしまうのでは?藤井四段も困っているのでは?と説明していたのですが...

解説の佐藤名人がこの局面ですかさず「これ、▲5七銀と受けても受け効かずなんですねぇ」と一言。△5六馬の一手詰み状態なので、何かしらこの拠点を受けなければ行けないのですが、さすがは名人。一瞬にして詰み筋を見つけていました。

▲5七銀で受けた場合、△6八桂成が好手。馬を取れば△6七金打で詰み、桂成を取っても△7六金打で詰みになるんですよね...素晴らしい。

実戦では▲5七銀打、△6八桂成、▲6四角と桂馬を取って△同金、▲4六銀と馬と取ったのですが...

△7五角打として132手で藤井四段の勝ちとなりました。投了図以下は▲7六玉に逃げても△6六金打ちで詰みになります。

という事で、何と若手が3連勝♪若手の勢いが止まりません。

第四局:郷田九段 vs 青島五段

出典:Abema TIMES

では次に第四局、青嶋五段 vs 郷田九段の対戦をご紹介します。同様にポイントを抜粋してなるべく分かりやすくご紹介します。先手が郷田九段、後手が青嶋五段になります

佐藤先生のパフォーマンスに期待♪

将棋ファンであれば皆さんご存知の佐藤先生、NHKの豊島先生との対決の意気込みコメントあたりからかなり有名になってファンもかなり多いのでは?

そんな佐藤先生の姿を見ると...

知る人ぞ知る今日も佐藤先生のパフォーマンスが見れそうですね♪

序盤は横歩取り戦型から、飛車角全て交換という展開に

序盤はお互いに居飛車、横歩取りの展開となりました。

角交換から互いに飛車先がぶつかり合う展開に。解説でも説明していましたが、盤上から飛車角全て無くなるのは結構レアなのでは?と。

中盤郷田九段優勢

中盤にさしかかり、郷田九段が馬を作ったあたりからかなり有利に進めているように見て取れます。下記、中盤の局面になりますが、mogレベルでもパッと見た目で先手優勢と一目で分かるくらいの状況です。

解説でも、これはちょっと詰み筋に入ってしまうんじゃないか?と言われていましたが、この後青嶋五段の受けによって、一旦は落ち着いた状況まで持ち直します。

飛車交換と引き換えのと金が命取りに...

が、中央突破は落ち着いた状況なのですが、郷田九段はさらに青嶋五段の飛車を取りにいきます。下記、▲8三香成、△5六歩打と指した局面になります。

既に青嶋五段の飛車が詰んでいるので、ここは解説では▲同歩と一旦受けに回った方が懸命...と説明されていたのですが、ここで▲9三香成と進み、△同桂が龍に当たっているので▲8二龍、△5七歩成と進みます。この玉頭の歩成が後々命取りになることに...

青嶋五段逆転

この後少し局面が進みましたが、相変わらず玉頭にと金がある状況...同馬ととると手駒に香車があり王手馬取になるのでと金が取れない状況です。

そして、青嶋五段の△8九角打が痛打!

逃げると6七の地点に馬を作られて寄せモードに。放っておくと金をとられて頭金で詰み。たった数手ですが、郷田九段優勢モードから一気に劣勢モードに...

佐藤先生、本気モードに♪

この局面を見てからか、佐藤先生が本気モードになって大盤解説に登場してきました♪

少し戸惑う解説の金井先生...あれ、ちょっと先ほどと様子が...とか。お決まりのパフォーマンスでさらに対局を盛り上げてくれます(笑)

終盤青嶋五段の詰みがスパっと決まる♪

その後局面はさらに進み、△5八歩成、▲4九玉、△4八金打を進んだ局面...

大盤解説ではここで詰み筋を見つけることは出来なかった様ですが、ここで青嶋五段が見事な詰み筋を披露。

▲同金、△同と、▲同玉、そして△3六桂馬が見事に炸裂!

佐藤先生も桂馬という言葉にやけに反応しています。以前橋本先生にたしか名人戦の解説だったと思うのですが桂(かつら)っていじられていた時もありましたね(笑)

こちら▲同歩ととると、△3七銀打、▲5九玉、△5六香打、▲5八歩打、△4八金打、▲6九玉、△5八香成までの詰みとなります。

△3七銀打を見て、128手にて郷田九段投了となりました。

これにて若手がなんと4連勝、郷田先生も「若手が強いというのは分かっているのですが...」と少し言葉を詰まらせながら、負けを認めないとという発言と共に中々ご自身でも納得が出来ない、優勢だったのに何故こうなってしまったのかが分からないといった状況でしたね...

第五局:森内九段 vs 八代六段

出典:Abema TIMES

では次に第五局、八代六段 vs 森内九段の対戦をご紹介します。同様にポイントを抜粋してなるべく分かりやすくご紹介します。先手が八代六段、後手が森内九段になります。

序盤は角交換居飛車

本局の序盤ですが、比較的ゆっくり進む展開となりました。

お互いの角を交換した後、後手は銀冠の囲いのような駒組が進んで行きました。

中盤4六角を中心に左側で激しい戦い

中盤になると、八代六段が指した▲4六角打をきっかけに戦いが勃発します。森内九段の飛車(8二の地点)と桂馬(7三の地点)を角が狙い撃ち。

その後上記のように飛車は6筋へ、桂馬は8五に跳ねて角筋からそらします。9一の香車は助からない状態だったので、あえて△9五香車、▲同香と香車を引き上げてからの△9九角打と6六の地点を狙いつつ後手も馬を作る作戦となってきました。

この時点では解説でも「先手香得ですが、まだまだ形勢は互角」と仰っていました。

終盤は形勢が二転三転...

終盤になると、お互いの玉近くに馬がいてなかなか危ない状況です。

今森内九段が△3二金と指して馬に当たっている局面でしたが、八代六段が馬を逃げずに強く▲4三金打を指した場面です。解説でも仰っていましたが、本局八代六段の強い攻め手が結構目立ちました。無謀な攻めというわけではなく、確実に・落ち着いた強手という意味ですね。

しかし、解説ではこの局面を見て、「これは後手優勢になったのでは?」「馬金交換後詰まない、3六桂馬もちょっと時間がかかる」という形で、先ほどまでは八代六段優勢と仰ってしましたが、ここにきて森内九段が優勢なんじゃないかと...

八代六段の▲1五桂打が強烈!

この後△4二金、▲同金、△6七歩成と進んだ局面で、何と八代六段と金をとらずに▲4八玉と寄りました。これには解説も対局者である森内九段も驚いた様子。感想戦でも森内九段が「ここでチャンスが回ってきたと思ったのですが...」と仰っていたくらいなので。

このあと△7六歩と金をとって寄せに持って行こうと森内九段が指しました。

が、ここで解説でも少しざわざわ...「1五桂馬が厳しいんじゃないですか?」と説明していた所で八代六段▲1五桂打!

これには森内九段も苦痛の表情...かなり考えている模様。これ放置しておくと▲2三金打、△同飛、▲同桂成、△同玉、▲2一飛車打からの詰めろになっています。

mog自身はここで玉の逃げ道も確保出来る△1五銀かな...と思っていたのですが、森内九段は△同歩ととりました。感想戦では△1五銀でも同じ事になる...と仰っていたのですがちょっとここが良く分からなかったです...

この後▲2一金と飛車を取り、△5八金打、▲3九玉、△4八角打、▲同飛、△同金、▲同玉、△6八飛打、▲4七玉と進みます。

そして森内九段は形作りの△8六馬と指し、▲2三金と打った所で森内九段投了となりました。以下同玉であれば3一、もしくは4一角打からの簡単な詰みとなります。

という事で135手にて八代六段の勝ち。何と若手棋士が五連勝♪若手棋士強すぎる(苦笑)。

第六局:三浦九段 vs 増田四段

出典:Abema TIMES

では次に第六局、増田四段 vs 三浦九段の対戦をご紹介します。同様にポイントを抜粋してなるべく分かりやすくご紹介します。先手が増田四段、後手が三浦九段になります。

三浦九段が攻める展開に

序盤の戦型ですが、増田四段が当初振り飛車かなと思わせる駒組から、お互いに居飛車模様となりました。

が、三浦九段が6四歩と突いた形から、右四間飛車戦型となりました。三浦九段の「飛車」「角」「銀」「桂馬」が全て6五の地点に集中していて、そのまま三浦九段が攻め込む展開に...

中盤三浦九段が優勢と思われたが...

この時点で三浦九段が飛車角銀桂馬という、将棋でいう攻め駒を全て利用していたので、解説でも後手の方が少し有利じゃないか...という声が多く聞こえました。上記場面見てみると、かなり後手が押しているように見て取れますよね。

この状況では後手が上手く駒をさばけそうな感じがしていたのですが...ここで増田四段が独特の受けをします。▲6六同銀、△7七歩打、▲7五銀、△8八歩成、▲6六角...

何と7八の金を受けずに、上手い事三浦九段の攻め駒であった金を剥がしてふわっと角が浮く感じで三浦九段の攻撃を交わします。この当たりから徐々に増田四段のペースになってきます。

▲7二金打が急所&好手

そして三浦九段の攻め駒であった金を取った事で手駒にある金を三浦九段の飛車近く▲7二金打が好手。解説もこれは普通の手に見えて中々見えない手だとか...

▲7二金打、△5一飛、▲6三歩打と歩を垂らします。これがまたまた好手。三浦九段の飛車の効きを止めただけでなく、△同銀だと▲6二金で飛車銀両取り、放置していると飛車が死んでしまいます。

なので△6一歩打を受けたのですが...

▲6四銀が強烈な一手。解説でも後手の急所急所にどんどん攻め入って来ていますとの事。

これ、そのまま放置しておくと、▲7五角といった王のラインに角銀が入ってくる状況となり、一発で投了に持って行かれそうな場面になってきています。右側は角銀金で壁になっていて動けない状態...

あっという間に増田四段の優勢となり、結局この当たりから終局まで増田四段ペースとなり...

上記局面▲6五龍まで、111手にて三浦九段投了、増田四段の勝ちとなりました。

投了図以下は同銀の場合は▲3七桂打、△2四玉、▲2五歩打、△1三玉、▲2四金打、△同角、▲3二金、△2三玉、▲2二角成までの詰みとなります。

何とこれで若手6連勝♪強すぎる...なんというか、若手の指す手は勢いがありますよね。無茶な手というわけではなく、そのまま優勢に駒組を運んでしまうような感じ...さて、最終局はどうなるんでしょうか。

第七局:木村九段 vs 近藤五段

出典:Abema TIMES

では最後の第七局、近藤五段 vs 木村九段の対戦をご紹介します。同様にポイントを抜粋してなるべく分かりやすくご紹介します。先手が近藤五段、後手が木村九段になります

横歩取り角交換後、互いに中住まい

序盤ですが、お互いに横歩取り展開模様となりました。その後、木村九段から角を交換し、互いに桂馬を跳ねて玉が中央に居座る中住まいとなりました。

結構こちらの戦法は急戦になりやすい&飛車の使いどころ・持って行き方が難しいので、mog自身も結構苦手...どちらかというと、角交換を避ける為に角筋をとめてしまうタイプです(苦笑)。

木村九段の強手△5四飛

という事で、やはり飛車の使い道が中々難しく、お互い駆け引きが続いていたのですが、木村九段側から飛車をぶつけるという強手にでました。

上記局面△5四飛と指した場面となりますが、これかなり怖くないですか?▲同飛、△同歩となった時に、玉頭が空いている&角が効いているので▲5三飛と打ち込まれる可能性が...

しかし解説では、▲5三飛車には△4一玉と下がっておけばそれ以上攻めは続けにくい&逆に飛車を使わせる事で、△8九飛と打ち込んだ時の合い駒がないので後手が良くなると見ているんじゃないかという説明でした。確かに...そうなると、安易に飛車を打ち込むのは難しいですね...

互いに相手陣地に飛車を打つスペースを作る

飛車をぶつけた後、飛車交換にはなったのですが、近藤五段は先ほど解説した理由からか5三の地点には飛車を打ちませんでした。

その後、お互いの駆け引きが続き、お互いの香車の頭に歩を打って香車を浮かせてから飛車を打つスペースを作って行きます。

上記のような感じ。木村九段側は玉頭が、近藤五段側が下段が急所になっているので、気が抜けない局面が続きます。

終盤はどちらも攻めが間に合うかどうか

お互いに龍を作る事に成功し、端から玉をせめて行きます。ぱっと見た感じ、素人目線では近藤五段の角が玉頭に効いている分少し有利なのかな...と思っていたのですが、この玉頭に打つ手駒がなかなか入手出来ず...

解説でも「あと1枚手駒があれば...」というシーンが何度かありました。

そして、局面は終盤になり、木村九段が素晴らしい受けを連発します。これ以上攻めが続かないと見た近藤五段は6四に打たれていた香車を角で取り、強引に3三の地点に打ち込んで突破を目指します。

が...木村九段側の龍&と金の攻めが少し遅いように思われたのですが、確実に近藤五段の玉に迫って行き、最終的にはこの攻めがそのまま近藤五段の守りを崩し、逆に木村九段側の玉は崩れず...

近藤五段は最後龍も切って強引に攻めて行きましたがあと一歩及ばず...上記局面△6三玉を指した所(98手)で近藤五段投了、木村九段の勝ちとなりました。

遂にトップ棋士が1勝♪しかし最終結果は若手vsトップ棋士は6勝1敗という結果となりました。これだけで若手が強いと断言は出来ないですが、将棋の内容を見ていてもやはり勢いがありますね。

最後に

最近若手棋士の活躍ぶりが本当に目立ってきています。特にタイトル戦などでも今迄は羽生世代が殆どタイトルを担ってきていましたが、そろそろ世代交替か?と言われるくらいになってきました。

もちろんmog自身トップ棋士・ベテラン棋士の方々のファンでもあるので、今後公式戦などで若手棋士との熱戦を是非繰り広げて頂いて、良い将棋を一つでも多く見ることが出来る様に応援し続けます♪