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【将棋】羽生マジック炸裂 羽生善治vs中川大輔 第57回NHK杯戦を解説

投稿日:2017年3月4日 更新日:

【 本記事のターゲット 】

  1. 将棋の名局を知りたい・学びたい
  2. 羽生マジックを見てみたい

こんにちは、将棋TIPSです。

今回は「羽生マジック」と呼ばれる羽生さんの対局をご紹介したいと思います。いくつか代表的な対局はありますが、中終盤にて放たれる絶妙手には将棋ファンの全員が釘付けになったものです。

まずは第1段として、第57回NHK杯戦の対中川戦で見せた終盤の逆転劇をわかりやすく紹介してみたいと思います。

状況

対局名

第57回NHK杯戦2回戦第11局(2007年)

対局者(段位は当時のもの)

先手:羽生善治 王座・王将

後手:中川大輔 七段

解説者

加藤一二三九段、中倉宏美女流初段

対局内容解説

前回は伝説の5二銀や藤井システム(47手)などをご紹介しました。

今回NHK杯戦になりますが、おそらく将棋ファンの方なら誰しも知っている羽生 vs 中川 戦になります。やはりNHK杯はテレビで放送されるということもあってみなさんの記憶に残りやすいですね。

戦型は居飛車&角換わり

先手が盤上の下になる羽生善治 王座・王将、後手が盤上の上となる中川大輔 七段となります。序盤はお互い飛車先の歩を突いていく居飛車同士の戦いとなりました。

途中玉を囲う前に中川さんの方から角交換に打って出て、羽生さんがそれに応じ角が成れるスペースを作って馬を作ることに成功しました。

千日手か?

中盤にて羽生さんが中川さんの飛車をもぎ取ろうと金で追い打ちをかけます。しかしもちろん金で飛車をとられるわけにはいかないので、中川さんは飛車をとられないように対応します。

そうすると…

▲8三金、△6二飛、▲7三金、△9二飛、▲8三金、△6二飛、▲7三金、△9二飛となり…

お互い一歩も譲らず…お互い指しては逃げて指しては逃げての繰り返し…

このままだと「千日手」が成立してしまいます。ちなみに千日手とは同じ局面を4回繰り返すと千日手というルールが成立し、最初から指し直しになります。そして手番は逆の状態で指し直しとなります。

今回の場合先手が羽生さん、後手が中川さんとなっております。基本は先手が有利と言われている将棋…このまま千日手をして先手から後手に変更になってしまうと時には不利になることにも繋がってきます。(全てがそうとは言い切れませんが…)

そこで羽生さんが千日手をさけて、馬で飛車をとります。馬と飛車の交換なので、コマの性能だけ見ると中川さん側に有利に進んだとみてもいいかと思います。事実、ここから羽生さんは劣勢にもっていかれます…

中川さんの反撃

羽生さんは取った飛車をすかさず中川さんの陣地内に放り込みます。▲5一飛打。その後、それを防ごうと△4一銀打、▲6二金、△8四角打と進んでいきます。

このあたりまでは羽生さんペースかなと思いながら観戦していたのですが…この後から中川さんの猛烈な反撃が始まります。

再度飛車角交換となり、その後下記図まで進行します。

この後、△6六歩打、▲4一金、△8五角打、▲5一角打、△4三玉、▲8四角成、△6七歩成、▲同玉と進んでいきますが、ここで中川さん渾身の一手「△6四飛打」が入ります。

王手+馬取りです。さすがにこれはきつい…どういう風に対応するんだろう?馬を6六の地点にでも引くのかな…と観戦していましたが、実践では

▲6五銀打、△8四飛、▲7四歩打、△7五銀打、▲6六銀打、△7七歩成….

いやぁ…これはさすがに先手番、羽生さんの劣勢は一目瞭然….もはや投了してもいいくらいの状態に見えます。右側の飛車は完全に抑えられているし、左側は猛攻を受けていて中川さん陣内は4一金のみしか攻め駒がいない状態…

その後中川さんの猛攻もり、羽生さん側の銀金は剥がされ、下記図のように飛車まで成り込んできます。

…どう考えてももうだめだろ…とmog自身も思いました。解説していた加藤一二三 九段もまだ終局していないのにもかかわらず、「中川さんが勝ちです」とということを明言してしまっていました….

羽生マジック炸裂 9八角打!

そして、敗戦濃厚な状況で羽生さんが放った一手…

それが「9八角打!」

この角打ちの対応によって、この後大きく局面が変わってきます。

この局面では中川さんの龍が羽生さん陣地の下段までくれば詰みになります。なので龍をとられない+下段に移動できる場所ということで中川さんは△8八龍と指します。しかしここで忘れてはいけないのが、羽生さんが打った角筋が中川さんの玉をにらめつけているということ…羽生さんは▲5四銀と指します。

当然角が効いているので銀は取れず、中川さんは△3三玉と寄ります。羽生さん側は右側の桂馬が逃げ道を塞いでいるので、飛車で2六桂を払います。そのあと△同歩、▲3八玉、△9九龍とついに下段へ龍が入り込みます。中川さんのパチッとコマを置く力が相当入っているように聞こえます。

もう絶体絶命のように思われたのですが…なんと…この時点で中川玉は詰んでいたのです…

手順は▲2八銀打、△同金、▲3七銀成、△2三玉、▲2四歩打…

3七銀成を過ぎたあたりから、解説者のひふみんこと加藤一二三九段の様子が…

「あれ?あれれ??おかしいですよ…これは。」

「も、もしかして頓死!?頓死なんじゃないですかね??」

「いやまてよ、歩の計算が…」「これ、詰んでますよ」「ひゃー」

「NHK杯に残る大逆転なんじゃないかな」「いやー、ひゃーひゃー」

とプチパニック状態…

それもそのはず、解説の中で羽生さんの負けとご自身で話していたんですから…まさかこの状態から羽生さんが勝つとは思いもよらなかったんでしょう。

ただひふみんこと加藤先生だけではなく、将棋ファンのほとんどの方は今回羽生さんは負けだろうと思っていたはず…

この後ですが、△同玉、▲3六桂打、△2三玉、▲2四歩打と続き…164手という大熱戦だったのですが、最後羽生マジックよる素晴らしい寄せ筋の前に中川さんがここで投了。

以下手順ですが、あとはこちらを歩の数だけ繰り返すだけです。△1二玉、▲2三銀打、△同金、▲同歩成、△同玉、▲2四歩打、△2三玉、▲2三金打までの詰みとなります。

いったいどこでこうなってしまったのか…最後の受けが悪かったのか色々mogなりに考察してみましたが、やはり詰んでいるんですよね…

例えば△2二同金のところを△2三玉としても▲2四歩打からぴったり詰んでいますし…

羽生さんが桂馬を飛車で取ったところで龍で角をさばいても▲2四銀打から同様の詰みです。

おそらくですが、▲9八角と打たれた局面では龍は逃げずに△同龍と角をとって戦うしかないのかなと。それでもこの局面で飛車を羽生さんに渡してしまうと、▲8三飛車打などからかなり厳しい状況になるのが見えているので…このまま続けていてもどうかなという所です。

どう見ても劣勢にしか見えなかった局面からの大逆転(もしかして実際にはmog含め分かっていない人が大逆転と思っているだけなのか??)。羽生 vs 加藤 NHK杯戦の5二銀打の時と同様に、やはり普通の人には見えていない部分が羽生さんには見えているんだなとつくづく関心しました。

最後に

今回ご紹介した対局も羽生マジックとしてはものすごく有名は一局になります。中盤〜終盤にかけて放たれる絶妙手、見ている方も魅了するような凄さを羽生さんはもっているなと。

NHK杯戦でもやはり羽生さんの対局をよく見てしまいます。今度ご紹介予定の対局もNHK杯の予定(羽生 vs 郷田)です。今期は途中で佐藤和俊六段に敗れてしまいましたが、次期第67回は是非上位(できれば優勝)まで進んでいって欲しいと思っているので、引き続き応援したいと思います。

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管理人:mog
昔からキャンプ・旅行好き。東京都在住。現在8歳の息子と4歳の娘の2児の父。家族旅行・キャンプに奮闘中。

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