本記事のターゲット 】
- 第11回朝日杯準決勝の内容を知りたい
- 羽生善治 vs 藤井聡太の公式戦初対局の内容を知りたい
ついにこの日がやってきました。将棋界公式戦での永世七冠羽生善治 vs 29連勝藤井聡太の対局。
下記の通り、朝日杯を勝ち上がってきて、夢の対局が実現致しました。
出典:朝日新聞DIGITAL
藤井五段は「私が将棋を始めるずっと前から、第一線で活躍されてきた方。(非公式の対局後)この1年で 成長したところを見せることができれば」という意気込みを、羽生竜王は「どこかで必ず顔を合わせると思っていたが、こんなに早く実現するとは 思っていなかった」とのコメントも。
「羽生」対「藤井」、非公式戦では1勝1敗の五分
炎の七番勝負で当時羽生三冠を非公式戦ながら撃破
いやほんと、藤井五段の勝ちっぷりには驚愕の一言ですね。藤井五段がデビューしたての頃から見てきていますが、こんなにも有名&勝ち続けるとは思ってもいなかったです。
一番最初にびっくりしたのがやはり下記対局でしょうか。
Abema TV主催の「炎の七番勝負」、まだ学生服の当時藤井四段が羽生さん含めあらゆる棋士たちと対局し、結果6勝1敗。非公式戦とはいっても、あまりにもの強さに唖然としてしまいました。
そして最終7局目に羽生三冠を撃破♪
当時中学生が三冠を撃破したことで、各メディアやニュースでTVでも度々放送されるようになりました。
中学生とは思えない手堅い将棋&コンピューター将棋を思い出すような鋭い攻め、この後藤井四段はどんな感じで勝ち進んで行くんだろうと...
歴代最多の29連勝達成
炎の七番勝負が終わってから、度々ニュースで将棋のことが放送される日が増えていき、さらにそれに合わせて藤井四段が公式戦で連勝を重ねていきます。
最初は特に意識はしていなかったのですが...あれれ?何だか気がつけば、連勝がすごいことになっているではないですか。
メディアも24連勝あたりから連日のように1勝を重ねるごとにどんどん世間の関心と共に放送の回数も増えていきました。
ついに今まで神谷八段が保有していた28連勝に追いつき...そして歴代最多の29連勝を達成♪
mog自身も興奮して上記記事を記載したくらいまさに社会現象となり、一気に世間が将棋ブームの渦に巻き込まれていった瞬間でもあります。
史上初めての永世七冠達成&国民栄誉賞受賞
そんな藤井ブームで盛り上がる中、羽生先生もタイトル戦(竜王戦)で世間の注目を集める形となりました。
竜王戦で勝ち上がり、当時渡辺竜王への挑戦を決めて、結果4勝1敗で竜王を奪取♪竜王を7期獲得した事により、永世竜王を獲得&当然史上初めての永世七冠を達成♪
当時の記事が下記となるのですが...
号外が配られるなど、当時藤井四段一色だったのが、変わって羽生先生の名前が連日報道されました。
そして、井山裕太七冠とのダブル国民栄誉賞の可能性がニュースで報じられ、そして2月13日に羽生・井山両氏に国民栄誉賞が授与されました。
お互いのプロフィールを簡単に解説
という事で、対局前に簡単にお互いの経歴・概要を下記にご紹介
羽生善治竜王
89年、19歳で初のタイトル竜王を獲得。96年史上初の七冠制覇を達成。17年に史上初の「永世七冠」を達成&国民栄誉賞受賞。
藤井聡太五段
史上最年少の14歳2カ月で四段に昇段。17年6月プロになって公式戦無敗のまま、史上単独1位となる公式戦29連勝を達成。そして18年2月1日、順位戦でC級1組への昇級が決まり、史上初めて中学生五段へ昇段。
第11回朝日杯将棋オープン戦準決勝(羽生vs藤井戦)を解説
ものすごい報道陣の数
第11回朝日杯将棋オープン戦は2月17日(土)午前中に準決勝戦、午後に決勝戦が行われました。
場所は東京都千代田区「有楽町朝日ホール」での公開対局となり、SS席は9800円と高額にも関わらず、全て満席&下記の通り報道陣もものすごい数が集まって世間の関心の高さを改めて実感させられますよね♪
出典:AbemaTV
対局開始は10時30分。持ち時間は各40分(チェスクロック使用)、使いきると1手60秒の秒読みとなります。
Ameba TV&朝日新聞DIGITALでLIVE中継としても放送され、中村王座・谷川九段がAmeba TV、現地では佐藤名人が解説を担当されていました。そして午前10時30分、対局がスタートします。
先手が藤井五段、後手が羽生竜王
振り駒の結果、先手が藤井五段、後手が羽生竜王となりました。
初手はお互い飛車先の歩を突き、角交換になるかと思われましたが、羽生さんが角道を止めて角換わりを回避する展開になりました。
腰掛け銀&雁木模様の展開となり、どこから戦いが始まるのか注目が集まります。
中盤藤井五段が積極的に仕掛ける&角交換と端攻め
この後互いに駒組みが進みますが、まだ囲いが完成する前に藤井五段が積極的に仕掛けてきます。
先ほど角交換を止めた歩に対して、▲4五歩と角道を開けにいき、△同歩、▲3三角成と角交換が実現します。
この後角の打ち合いで少し駆け引きがありましたが、さらに端から攻めようと藤井五段が端歩を付いて▲1五香とさらに仕掛けに入ります。
こちら△同香と取ってしまうと、▲2四飛車、△2三歩打、▲1四飛車と飛車が受からなくなってしまうので、羽生竜王は△1二歩打と受ける形となりました。
藤井五段の残り時間が0、1分将棋に...
谷川先生の解説では、現時点では少し羽生竜王の方が苦しい展開...先手が指しやすい展開になっているとの解説。
ただまだまだ難しい局面ですが、ここで羽生竜王が反撃&逆の端攻めを繰り出してきます。
9筋の歩を突き捨てて藤井五段の香車を引き上げ、陣形を崩しにかかります。が、藤井五段も▲3五歩から▲5五銀と再度仕掛け&攻めに回ります。
羽生竜王の持ち時間10分ちょっと、藤井五段が持ち時間0分に...冒頭に記載した通り、朝日杯は持ち時間を使い切ると、1手60秒以内(1分将棋)で指さないと行けません。
さて、ここから藤井五段が時間がない中正確に進めていけるか、羽生マジックが炸裂するか...
羽生竜王の反撃、△8八歩打が強烈!
ここで羽生竜王が△8八歩打と指します。
これ、▲同金と取ると、藤井玉が左側にいけず、壁になってしまう...
プロ棋士の解説でも、これはさすがに形が悪いですね...という意見が多くなってきます。あれ?羽生竜王の方が良くなった?と感じた局面。
この後、やはり▲同金と取るしかなく、仕方がなしに藤井五段が指します。その後△5五銀と取り込み、いろんな選択肢(特に角打ち)があり、羽生さんの優勢か...と思われましたが、ポナンザ(AI将棋)の形勢判断ではまだほぼイーブン・互角との判定となっています。
終盤の仕掛け、羽生竜王の指し手に会場どよめき
この後、藤井五段が▲4三歩打と王手をかけます。
これは羽生竜王も想定していなかったようで、この時点で持ち時間を全て使い切ります。これでお互い1分将棋に...
そして羽生さんが指した手は「△4三金右」!?何と、2筋の歩を放置して「どうぞ▲2三飛成と飛車をなってください」といったような手に会場&解説のプロ棋士にもどよめきが...
そして▲5五銀の後、さらに羽生竜王が指した手が△9九銀!?再度会場にどよめき...▲9八金と寄った後、△8八歩打と細かい攻めを繋いでいきます。
しかし、この時点でポナンザの形勢判断では藤井五段の優勢との判断。
この後藤井五段の飛車がなり、羽生竜王が△3二角打ちと受ける局面になりますが...
▲2三歩打と藤井五段が攻めます。会場の解説者である佐藤名人も、「これは受けにくいですね...」とのコメントも。後は羽生竜王の3二角が働くかどうかがポイントですね。
持ち駒をみると、藤井五段は豊富ですが、羽生竜王の持ち駒は歩のみ...
やはり、羽生さんが少し苦しいような気がしますが、ポナンザの形勢判断はまだ互角...佐藤名人の話でも、やはり先手の方が良く見えるという...
この後さらに手順は進み、羽生竜王の玉がどんどん上に上がってきます。
この後▲5五角、△同玉とついに羽生竜王の玉がど真ん中に...さて、最後はどのような展開になっていくのでしょうか。
119手で藤井五段の勝利&羽生竜王を公式戦で撃破
この後▲5六銀打として、玉が上に上がってこないように押さえ込みます。
その後▲7四歩打と羽生玉の周りを攻め固める手に対して、△4六銀と右側へも玉が移動できるような攻め&守りの手筋を指していきます。
この時点では佐藤名人の解説ではまだ難しいんじゃないか...けどやはり先手がかなり優勢に見えるという話をしていた矢先、羽生竜王が指した手が△7九角打...
この瞬間、佐藤名人が「これは受けになっているのか...」とポロリとコメントを...そして次の瞬間、ポナンザの評価値が一気に藤井五段へ振り切りました...
この評価値の動きは明らかに「詰んでいる」という事。佐藤名人も、これは詰みだと思いますというコメントが...
▲5五銀打、△同銀、▲同銀、△同玉、そして▲4七桂打...
この桂打ちをみた後、すぐに羽生竜王が投了、藤井五段が公式戦で羽生さんを初めて撃破した瞬間となりました。
ということで、今回は羽生善治 vs 藤井聡太 将棋第11回朝日杯準決勝をご紹介しました。
藤井五段がさらに一歩前に踏み出し、やはり強さは本物だと改めて実感した瞬間でもあります。
リアルタイムで視聴していましたが、今後が本当に楽しみですね。