「藤井聡太」対「羽生善治」どっちが強い?炎の七番勝負の対局を棋譜付き解説

2017年4月24日

【 本記事のターゲット 】

  1. 藤井聡太四段(当時)の活躍を知りたい
  2. AbemaTV 炎の七番勝負が気になる
  3. 羽生先生と藤井聡太四段(当時)が戦った結果は?

将棋界で今もっとも話題となっている方のお話です。将棋界の記録を62年ぶりに塗り替え史上最年少でプロデビューした藤井聡太プロ。

なんと当時まだ14歳だったんですよね...まだ中学生なのに将棋プロ棋士として厳しい世界で戦っているんです。

mog自身中学生の時って何してたんだろう?と考えると恥ずかしい限りです(苦笑)ゲームばかりやっていた気が...

以前3月のライオンの話でも藤井四段に少し触れたのですが...

まさかここまで快進撃を続けるとは思ってもいなかったので、再度藤井さんの話をピックアップしたいと思った次第です。

藤井聡太プロとは?史上五人目となる将棋の中学生プロ棋士

ここで再度藤井プロの凄さを少々ご説明。

加藤一二三、谷川浩司、羽生善治、渡辺明に続く将棋史上5人目となる中学生将棋プロ棋士。14歳2ヵ月でプロデビュー。

これまで加藤一二三九段が持っていた14歳7ヵ月というプロデビュー記録を62年ぶりに塗り替えるという快挙を達成しました。

過去将棋で中学生プロ棋士になれたのはたったの5人

ちなみに以前も記載しましたが、中学生でプロ棋士になったのは下記5人となります。

  • 加藤一二三(1954年) 年齢:14歳7か月

→主な記録:現役最年長記録(77歳)、名人・十段(当時)・王位・棋王・王将など計8期タイトル獲得。特技は早指し&棒銀。NHK杯では過去7回優勝。ひふみんの愛称でもテレビなどで茶の間に人気。

  • 谷川浩司(1976年)  年齢:14歳8か月

→主な記録:竜王・名人・王位・王座・棋王・棋聖・王将など計27期のタイトル獲得(歴代4位2017年現在)。終盤に見せる「光速の寄せ」という他の人からみてもあまりも正確で早い詰み筋からこのような名称が付いた。元日本将棋連盟会長(先日のソフト不正疑惑により責任をとって辞任)

  • 羽生善治(1985年)  年齢:15歳2か月

→だれもが知っている将棋界No1棋士。主な記録:竜王・名人・王位・王座・棋王・棋聖・王将など計97期のタイトル獲得(歴代1位 2017年現在)。NHK杯戦では10回優勝(将棋界唯一の名誉NHK杯選手権者の称号保有者)。当ブログにもなんどか掲載している終盤に見せる妙好手「羽生マジック」によって、過去なんどもマジックにかかったかのような大逆転を生み出している。

  • 渡辺明(2000年)   年齢:15歳11か月

→主な記録:竜王・王座・棋王・王将など計19期のタイトル獲得(歴代6位 2017年現在)。竜王といえばこの人、竜王位のみで11期獲得、将棋界唯一の永世竜王の称号保有

  • 藤井聡太(2016年)  年齢:14歳2か月

→史上5人目となる中学生プロ棋士、2016年12月24日にデビュー戦として「年の差62歳」といった最多年齢差の対局を実施(加藤一二三との対局)。見事勝利でプロデビュー、これからの活躍に期待がかかる

これを見ると中学生棋士になった方=タイトルを獲得したり、将棋界の第一人者となるべき人たちが揃っているんですよね。

なので以前記事を書いた際も藤井四段の活躍を多いに期待と書いたのですが...

快進撃!デビュー連勝記録更新!最終的には29連勝達成

何かと注目の的となっている藤井四段、そんなプレッシャーをもろともせず実力はやはり本物。プロ棋士になってからも白星を量産している状態なんですよね。

将棋プロデビューしてから連勝を続け...最終的には歴代一位となる29連勝まで勝ち星を積み重ねていきましたよ。

下記別記事にて詳しく記載しておりますので、良ければあわせて見てみて下さい。

炎の七番勝負とは?Abema TVで開催された特別試合

そして公式戦ではないのですが、Abema TV主催の『藤井聡太四段 炎の七番勝負』という企画が以前実施されました。

下記、公式HPのイメージ画像です。将棋を多少しっている人であれば、下記イメージ画像を見るだけでものすごく面白そうですよね♪

出典:AbemaTV

2017年3月12日から第1局から順番にAbema TVで放送されていました。

この7局対戦ですが、対局者がこれまた凄い人ばかり...

出典:AbemaTV

段位やタイトルは当時のものとなりますが...

増田四段から始まり、若手実力棋士&羽生さんとのタイトル戦も繰り広げた中村六段、順位戦A級の深浦九段、日本将棋連盟会長&今年のNHK杯でも優勝した佐藤康光九段...

そしてそして、何と最終局には将棋界トップを走り続ける羽生三冠との対局といった豪華メンバーとの対局が用意されているんです。

いや、これ凄すぎる企画だと注目していたのですが...実は今日最終局の羽生さんとの対局が実施されたんです。

もろもろ面白い企画だったので、皆さんにも知って頂きたく折角なので記事にしてみようと思った次第です(笑)。

まずはそれまでの対戦結果(第六戦まで)を下記に振り返ってみます。

炎の7番勝負第一戦 〜 第六戦 の結果をご紹介

第一戦 増田康宏四段

放送日時:2017年3月12日(日)夜7時~

出典:AbemaTV

95手にて先手藤井四段の勝利!

第二戦 永瀬拓矢六段

放送日時:2017年3月19日(日)夜7時~

出典:AbemaTV

114手にて後手永瀬六段の勝利!

第三戦 斎藤慎太郎六段

放送日時:2017年3月26日(日)夜7時~

出典:AbemaTV

91手にて先手藤井四段の勝利!

第四戦 中村太地六段

放送日時:2017年4月2日(日)夜7時~

出典:AbemaTV

117手にて先手藤井四段の勝利!

第5局 深浦康市九段

放送日時:2017年4月9日(日)夜7時~

出典:AbemaTV

122手にて先手藤井四段の勝利!

第6局 佐藤康光九段

2017年4月16日(日)夜7時~

出典:AbemaTV

95手にて先手藤井四段の勝利!

ここまで5勝1敗の快進撃!

今回のAbema TV主催の『藤井聡太四段 炎の七番勝負』では藤井四段が必ず先手、持ち時間はそれぞれ1時間(第七局のみ持ち時間2時間、持ち時間が無くなったら一手60秒未満)という事で内容だけ見れば多少藤井四段に有利な内容とはなっていますが、公式戦の連勝などを見ていると既に実力はトップクラス。※余談ですが、プロになる前の奨励会は持ち時間90分なので、それに近い形になっている。

この炎の7番勝負でも中村六段、A級棋士の深浦九段、NHK杯優勝の佐藤康光九段を破っての5勝1敗。ちょっと強すぎるんでは?というくらいの内容です。

今後近いうちにタイトル戦などで藤井四段を見る日も近いかも知れませんね。

どのように将棋界に影響を与えて行くか、今から諸々楽しみです♪

第7局  藤井 vs 羽生 2017年4月23日にて夢の対局実現

出典:AbemaTV

さて、ついに夢の対局が実現します。炎の七番勝負最終局になります。

最年少 VS 三冠

いったいどんな対局になったんでしょうか。当時気になってずっとリアルアイムで見てしまいました...

一通りみた感想と棋譜を再度並べてみましたので、気になる内容・ポイントをピックアップして棋譜付きでご紹介します。mogレベル(二段くらい...)&目線なので、多少解説部分がおかしくてもご了承下さい(苦笑)

序盤、藤井プロが仕掛ける

先手が藤井四段、後手が羽生三冠になります。解説は佐藤天彦名人・阿久津八段・中村桃子女流初段となります。

下が藤井四段、上が羽生三冠になります。戦型は角換わりで始まり、お互いの角を交換した後コマ組が進んで行きます。

しばらくゆっくり進んで行くのかなと思っていたのですが...まさかの藤井四段がいきなり序盤から積極的に仕掛けます。下記状況で▲4五桂馬!

中々序盤から桂馬は跳ねにくいのですが...その後△2二銀、▲2四歩、△同歩、▲同飛、△4二角打、▲3四飛まですすみます。

そして、△2三銀と上がり、飛車を▲3五の地点に移動させ、さらに跳ねた桂馬をもぎ取ろうと△4四歩と羽生さんの反撃を受けますが、ここでもさらに藤井四段の積極的な手が...▲7一角打!

いやぁ、流石にやり過ぎだろう...と。飛車寄られた後切っても金と角桂馬交換とコマが大損...どうするんだろうと見ていたのですが、事はその通りに進んで行きました。

△7二飛、▲5三桂成、△同金、▲同角成、△同角、▲8五飛車、△8二歩打

この状況だけ見れば、mog自身は基本コマの損得で考えてしまうので羽生さんの方が有利なんじゃないのかなぁと思っていました。

何と言っても角桂馬と金を交換したんですから...

中盤、歩切れを利用して巧みに攻めていく

しかし、ここで重要な事に気付きます。

羽生さん側の手駒を見ると歩が切れている...そう、歩切れの状態だったんです。

歩切れ状態の羽生さん。何とかその間に2筋を突破出来ないかと攻めを続ける藤井さん。気がつけば羽生さん側のコマがほぼ三段目に...あまり見た事が無い形になりました。

現状後手・羽生さん側が歩切れの状態ですが、コマの損得だけ考えると角桂馬と金交換になっている状態なので、現状羽生さん側がコマ得状態。

あまり時間をかけてゆっくり指していると、羽生さん側の歩切れが解消しコマの損得から羽生さん側が優勢になるような局面。

なのでこの歩切れ状態のタイミングで攻めを続けるのがベストと解説でも仰っていた所、藤井さんが放った手が▲3五金打。

この後7筋の歩を交換して▲2四歩打、△1二銀、▲5六銀、△5四銀、▲6六銀、△7三飛と進んで行きます。

△1二銀と指すのは銀の働きを失う事になるので、この時点では羽生さん側がちょっと指しにくいのかな...と思ったのですが...

しかし気がつけば先ほどまで三段目にあった羽生さんのコマが中央にまとまってきています。

一方藤井さんの方もコマが自然と中央に...さて、いったい終盤はどうなって行くのでしょうか?

しかし藤井さん、14歳とは思えないほど落ち着いています。チラっ、チラっと対局中なんどか羽生さんの顔を見ていましたが、勝負師としての顔つきになって鋭い目つきになっています。

終盤、藤井プロ優勢

さらに手順が進み、その後局面としては藤井四段がかなり有利に進めて行きます。

中央のコマがさばき合い、気がつけば角銀交換でコマの損得は殆どない状態&藤井四段がかなり攻めている状況です。

解説でも優勢というコメントが出始めている状態...ここで羽生さんが△2八歩打、▲同飛、△3九銀打と飛車金両取りをかけますが...

飛車先が羽生さん側の玉を睨んでいる状態で非常に危険な状態。藤井四段もこの両取りを相手している場合ではないので攻めを続行します。

歩を成り捨てて、▲4三銀打、△2二玉、▲3一角打、△1二玉、▲2四歩打ちと進みます

△2八銀成らず、▲2三歩成、△同玉、▲3四銀打...かなり迫ってきます...

△2四玉、▲2二角成...※▲2五歩打は打ち歩詰めの為NG

詰めろ状態...もはや絶体絶命のような局面...さらに羽生さんの持ち時間がここで使い切った状態となり、一手60秒未満で指す必要が...

しかしさすが羽生さん!ここから解説者も分かっていないような鋭い&狙った手が出てきます。

△6九金打、▲同玉、△3九飛打、▲4九歩打...

一瞬形作りかと思うような△6九金打、ちょっとmog自身はさっぱり分からなかったのですが、この後の手順を見るとなるほど〜と感心してしまいました。

△4七角打、▲7九玉、△6九金打、▲8八玉、△3六飛成

解説の阿久津先生が「とんでもないところから角が飛んできた」と仰っていました。

そう、この角を取ると△4九飛成から下記図のように詰み筋に入ってしまうそうです。※恥ずかしながら、mog自身未だにこの状態からの詰み筋が分からないのですが...汗

なので合いゴマをするか逃げるかしかないのですが、藤井四段が指した手は「▲7九玉」。そこから一度王手をして△3六飛成と3六の歩を取払います。

これ自体は詰めろ逃れなんですが...実はこれ放っておくと恐ろしい手が待っているんです。

下記参考図ですが、▲8六龍、△8七歩打、▲8七桂成から頓死になってしまうんです。

まさに詰めろ逃れの詰めろ、阿久津先生や佐藤(天)先生も驚いていた&解説で「まだまだ狙ってますね〜」と...まさに羽生マジックを思い出させるような手筋。

しかし藤井四段、持ち時間も1分という状況にも関わらず全て冷静に対応します。

最年少 vs 三冠。結果、藤井四段が羽生三冠に勝利!

▲2五金、△同龍、▲4七金、△8六飛、そして▲8七歩打...

この▲8七歩打ちを見て羽生三冠が投了、111手にて藤井四段の勝利!

投了図以下ですが羽生さん側の攻め筋がこの後厳しく、馬を2三の地点に引かれた後、銀で2五の龍を取られ、4五の地点に馬を引かれるといった手順で詰み筋に入ってしまう状態になっています。

この瞬間の視聴数は582.1k、約58万人がリアルタイムで視聴していたという事になりますね。

この後感想戦でも中学生とは思えないほど落ち着いた対応&話し方をしていました。

感想戦では羽生さんが藤井さんに打たされた「△8二歩」が最後まで邪魔だったと...この歩があるが故に、8七の地点に歩が打てなかったんですよね...

その他にも諸々お話していましたが、最後羽生さんの反撃も凄かったですしものすごく見応えありました♪いやぁ、久々に楽しかったです。

藤井聡太四段の炎の七番勝負の結果は...

6勝1敗

となりました。

今回の炎の七番勝負は登場するプロ棋士が凄い方ばかりだったので、流石にそこまで勝てないだろうと思っていたのですが...凄すぎて(強すぎて)唖然としてしまいました...苦笑

14歳と中学生ながらにして公式戦29連勝、また炎の七番勝負では6勝1敗と異常な強さを見せつけています。(2024年追記:ついに前人未到のタイトル八冠達成しましたね)

これからどのような活躍を見せてくれるのか、将棋ファンの一人として今後注目して行きたいと思います。