【 本記事のターゲット 】
- 将棋で入玉した時の点数の数え方を知りたい
- 入玉した時、どのタイミングで点数勝負になるのか
- 持将棋になるルールはどういうものなのか
こんにちは、将棋TIPSです。今回は将棋の対局にて相手側の陣地に玉が入る「入玉」という状態になった場合の様々なルール・勝敗の付け方をご紹介します。
滅多に入玉する事はないかな...とは思うのですが、mog自身高校時代の将棋大会で入玉して勝利⇒決勝トーナメントへ進出し、結果優勝=初めて自分の名前が新聞にのるという思い出もあったりします。
最近将棋アプリなどで対局していても、入玉する事もしばしば...お互いの玉が入玉するというのは本当に稀ですが、片方の入玉って結構発生する頻度は高いのではないでしょうか?
で、片方の玉が入玉すると結果詰ます事が出来ず...仕方なしにもう片方の玉も入玉を狙い、結果両方とも入玉...
どう頑張っても詰むような状況ではない&この場合って勝敗どうなるんだろうと思う方も多いと思いますので...
今回はあるシチュエーションの盤面などを元に、どういう場面でどういった勝敗ルールになるのかを詳しく解説してみたいと思います。
目次
将棋の「入玉」とは?どういう状態の事を言うのか解説
敵の陣地3段目以内に玉が入る事
まず入玉の定義を改めて確認しておきたいと思います。
入玉した = 相手陣地の3段目以内に自分の玉が入る事を言います。例えば下記のようなイメージです。
上記図は3段目になりますが、さらに一歩すすんで2段目、1段目に入った状態でももちろん入玉となります。将棋は相手陣地3段目に入ると駒が成る事が出来ますよね。
歩を初め、様々な駒が金の機能となりますので、入玉すると自分の玉の周りに金を沢山作る事が可能となってきます。
入玉になると詰ます事は困難
という事で、一度入玉してある程度駒を玉の周りに固めてしまえば、相手側からすると詰ます事がかなり困難になります。
入玉してまだ周りに駒が無い状態であれば詰ませる事も出来ますが、例えば下記のような状態になった時はどうでしょう?
ここまで玉の周りにと金や駒が成った状態で集まってくると、まぁ基本詰まない&玉を捕まえる事は出来ないですよね...
勝負が付けば良いが、お互い入玉するともはや勝敗決着は不可能
なので、相手が入玉し既に詰ます事が出来ない状況に成った場合、やる事はただ一つ、
- 自身の玉も相手陣地に入る = 入玉を目指す
という事になります。入玉をあえて目指す形になるのでかなり危険を伴いますが、そうしないとまず勝ち目はありません。なので詰まされる覚悟で入玉を目指します。
途中で詰まされたらそれで決着は付いてしまうのですが、例えば入玉が成功して下記のような状態になった場合は如何でしょうか?
自分も相手もお互い玉の周りにと金やな成り駒が多数...こうなってしまうと、どちらも詰ます事は不可能です。
で、この場合どうやったら決着が着くのでしょうか?たしかコマの点数ルールがあったような...といった曖昧な記憶の方が殆どだと思いますので、将棋連盟の公式ルールを元に下記て詳しく解説していきたいと思います。
お互い入玉、勝敗が付かない時の持将棋・入玉宣言法ルールを解説
持将棋(両者の合意が必要)
ではまず入玉した時に持将棋(引き分け)になる場合を見ていきたいと思います。
日本将棋連盟の対局規定第6条のBに下記記述が記載されています。
互いに敵陣に玉が入り、どちらも相手の玉を詰ます見込みがなくなった場合は、両対局者の合意で「持将棋」となり、無勝負とする。
持将棋が成立するには、大駒1枚を5点、小駒1枚を1点として数え、両対局者の点数が各々24点以上なくてはならない。24点に満たない対局者は負けとなる。ただし、両者合意に至らない入玉将棋については次項の「入玉宣言法」が適用可能となる。
まぁ簡単に記載すると、「両者が入玉している状態で、お互い駒の点数が24点以上で合意すれば引き分け」という事になります。
ちょっと状況・イメージが沸きにくいと思うので参考図として下記お互い入玉した図を元に解説します。
まずこちらの図ですが、大駒(飛角)が5点、その他が1点で盤面と持ち駒の点数を数えてみると下記のような状態になります。
- 先手:角2枚、その他の駒18枚=28点
- 後手:飛車2枚、その他の駒21枚=26点
お互い24点以上でお互いの玉が入玉して勝負の決着をつける事は困難...という場合は、お互いの同意があれば持将棋となり「引き分け」となります。
入玉宣言法(24点法に基づく)
とはいえ、多少自分の方が有利だとか、形勢に差があるという場合もあるかと思います。
明らかに自分の方が良いのにな...このまま持将棋になるのは嫌だなという場合は「入玉宣言法」というルールを適応する事も可能です。
こちらは日本将棋連盟の対局規定第6条のCに下記記述が記載されています。
宣言しようとする側の手番で、持ち時間に指さずに「宣言します」と言い、時計を止めて対局を停止させる。その時の局面が、次の条件を満たしていれば、宣言側が、勝ちまたは引き分け(無勝負)となる。
[条件1]宣言側の玉が敵陣3段目以内に入っている。
[条件2]宣言側の敵陣3段目以内の駒は玉を除いて10枚以上存在する。
[条件3]宣言側の玉に王手がかかっていない。
[条件4]宣言側が(大駒5点、小駒1点の計算で)
A.31点以上あれば宣言側が勝ち。
B.24点以上30点以下であれば持将棋引き分け(無勝負)。
ただし、点数の対象となるのは、玉を除く宣言側の持駒と敵陣3段目以内に存在する
宣言側の駒のみである。
尚、条件1~4のうち一つでも満たしていない場合、宣言側が負けとなる。
先ほどの持将棋と違う所は下記点かと。
- お互いの同意が得られない状態
- 宣言制であり、宣言する側が相手陣地内に玉を除いて10枚以上駒が存在する
- 盤面(相手の敵陣3段目以内の駒のみカウント)&持ち駒の合計点数が31点以上
です。
特に点数を数えるときのポイントが、手駒はそのまま計算すればいいのですが「相手陣地3段目以内に入っている駒のみカウント」という所が重要です。
あとは相手陣地3段目以内に玉以外の駒が10枚存在する事という部分も重要。
なので、こちらの入玉宣言法をする場合、入玉してからある程度相手陣地を荒らして、自身の玉周りに沢山駒を配置する必要があります。
例えば下記のような感じ。
こちらはお互いの玉が入玉していますが、点数にかなりの差が開いています。
そして先手の相手陣地内のコマ数は10枚を超えているので入玉宣言法を利用する事が出来ます。この時点で先手側が「宣言します」と言うと、入玉宣言法が適応され、
- 先手:大駒3枚、その他の駒17枚=32点
- 後手:大駒1枚、その他の駒17枚=22点
先手が32点ということで、31点以上超えているので勝利...と思うかもしれませんが、ちょっとその判断はまだ早いです。
先ほど記載したとおり、点数にカウント出来るのは「盤面に関しては相手陣地に入っている駒のみ」となります。
こちらの図では、左下の歩は相手陣地にはいっていないので点数にカウントしてはいけません。が、この1点を引いても合計得点は「31点」となり、先手の勝ちとなります。
仮に宣言した側の点数が24点〜30点の場合は持将棋となり引き分けとなります。
宣言しても、もし点数が24点未満(あまり無いとおもいますが、大駒がないといった場合など)の場合は負けとなりますのでご注意下さい。
その他公式ルール以外の決着方法「トライルール」
こちらは日本将棋連盟の公式ルールではありませんが、一部の将棋クラブやスマホなどの将棋アプリなどで良く用いられるルールとして「トライルール」というものも存在します。
このトライルールですが、相手玉の位置(先手なら5一、後手なら5九)に自分の玉を進めるとトライルール適応となり、その場で勝ちとなります。
例えば下記のような感じ。
先手は王手などが掛かっていない状態で、初期の5九玉から入玉してどんどん進み、▲5一玉と進めた場面です。
もし将棋にてトライルールが採用されている状態の場合は、上記場面で先手の勝ちとなります。
将棋の公式ルールではありませんが、たまにこのトライルールと出くわす場面もありますので、是非この機会に覚えておきましょう。
ということで、今回は将棋でお互いが入玉した場合の点数勝負の付け方や公式ルールをご紹介しました。
もし将棋の対局でお互いの玉が入玉してしまい、勝負の付け方が分からなくなった場合は是非本記事を参考にして頂ければと思います。