【 本記事のターゲット 】
- 将棋プロ棋士の連勝記録を知りたい
- 藤井聡太プロの連勝記録の軌跡を把握したい
今回は将棋プロ棋士の連勝記録に関してご紹介します。
今や時の人、藤井聡太プロが将棋界で約30年間もの間破られることのなかった連勝記録をついに更新しました。
2017年6月26日の竜王戦決勝トーナメントvs増田康宏四段戦に見事勝利し、歴代最多連勝記録29を樹立しました。
プロの世界で公式戦29連勝ですよ?普通に考えてそんなに連勝できるもんでしょうか...
mog自身将棋に関しては二段の実力を持っていますが、たまにアマ四段・五段の人に勝つこともできますし、よっぽど実力差がないとこの記録(29連勝)は不可能かと...それをプロ棋士の世界の中(一部棋戦でアマ対戦等はありますが...)で達成してしまうとは...
プロデビュー自体も14歳2ヶ月とひふみんこと加藤一二三九段が保有していた14歳7ヶ月という記録を62年ぶりに更新。
何から何まで記録づくしの内容に、今や空前の将棋ブームへと突入しそうな雰囲気もあります。
子供たちの将棋道場へ通う率も大幅に向上、後ほど記載しますが藤井聡太プロのグッズは即完売などなど...いやぁ、なんだかすごすぎてよくわからない状況になってきましたね。
と少し話脱線しましたが、今回は将棋のプロ連勝記録に関して諸々ご紹介します。
何故藤井聡太プロは歴代最多連勝記録を樹立できたのか?
強さの秘訣はAIにあり?
藤井聡太プロの強さの秘訣には日々ニュースなどでも様々取り上げられておりますが、そのなかの一つとして「AI」の活用があるのではないかと思っています。
話によると、奨励会三段のときから気になる棋譜をAIで分析し、正確な形勢判断や最善手を探るなどして対戦に生かしているそうな...
若手プロ棋士でNHK杯準優勝&タイトル挑戦などの実力派で知られている千葉翔太プロも「藤井四段の指し手にはかなりの程度、AIの影響がみられる。
その強さは、もともとの棋力の高さに加え、AIの有効活用にあるのではないか」とコメントしています。
確かに、以前紹介したAbemaTV 炎の七番勝負で最終戦羽生三冠との対戦となりましたが、序盤からAI戦術とも捉えられる仕掛けの速さにびっくりした記憶があります。
mog自身もそうですが、基本どうしてもコマの損得で盤上の形勢を判断してしまいます。
が、AIの特徴としてはコマの損得は二の次で、コマ損していても相手の陣形を乱したり歩切れにして攻めが継続できると判断すれば、バシバシ大駒を切って攻めやすい&守りやすい形勢を作っていくということが多い気がします。
多くのプロ棋士からも藤井聡太プロの特徴として「仕掛けの早さ」をあげています。
従来の定跡にとらわれず、桂馬や銀を序盤からどんどん前面に繰り出して自分のペースをつかんでそのまま勝ち切る将棋が多いですね。
連勝記録達成時、トップ棋士との対決が少なかった
連勝記録を樹立出来た背景にはトップ棋士との対戦がまだ少ないという事も上げられるかと...確かにそうかなと思うのですが、それでも相手はプロ棋士ですからね...
藤井聡太プロはまだプロになってから1年経過していません。
なので当然プロの一番最初の段位である四段からスタートする訳なのですが、段位だけではないんですよね。名人戦に挑戦する順位戦も一番下のC級2組、竜王戦も6組からのスタートです。
羽生さんや佐藤(天)さん、渡辺さんなどトッププロ棋士は順位戦であればA級、竜王戦であれば1組といった形でトッププロ棋士同士で対戦することが多いです。
なのでその中で28連勝を超えるということは普通に考えたら実現不可能なんですよね。
一方藤井聡太プロの場合、現状低段者やC級2組、竜王戦6組に在籍しているプロ棋士と対戦する事が多く、トッププロと対戦することはほとんどありません。
なのでこのあと対戦表一覧をご紹介しますが、これも連勝記録を達成したことの大きな要因になっているかと思います。
竜王戦では6組優勝まで進めており、今回決勝トーナメントへの参加を決めているので今後遂にトッププロ棋士と対戦していく形になっていきます。色々と楽しみですね。
歴代単独1位29連勝を達成するのまでの道のり
藤井聡太プロのデビュー戦は加藤一二三九段との対局
出典:産経ニュース
ここから全てが始まりました。藤井聡太プロのデビュー戦となったのはひふみんこと加藤一二三九段。
加藤一二三九段はいまやバラエティー番組などにも多数出演している人気棋士となっておりますが、過去の戦績も申し分なし。
藤井聡太プロと同様に中学生プロデビュー&タイトル8期、「神武以来(じんむこのかた)の天才」と呼ばれたほどの実力者です。
年の差62歳(藤井聡太四段14歳、加藤一二三九段76歳)での対戦となりましたが、これも記録に残る将棋の公式戦としては最も年齢の離れた対戦となりました。
場所は東京都渋谷区の将棋会館で行われ、竜王戦6組での対局。結果現役最年長の加藤一二三九段を110手で破り、見事プロデビュー戦を白星で飾りました。
連勝記録達成までの途中経過
デビュー戦も注目を集めましたが、映画3月のライオンの影響もあったからか中学生プロ棋士として注目を浴び出します。
その中でも2017年3月まで全て公式戦を白星&10連勝で勝ち抜け、AmebaTVの炎の七番勝負で非公式戦ながら羽生三冠を破るなどもあって一気に注目されることとなりました。
2017年6月に入って20連勝達成...
ついに神谷八段が保有する歴代最多連勝記録の「28」に迫るんじゃないかとニュースで連日のように放送されるように...
歴代単独1位29連勝記録達成の瞬間は竜王戦決勝トーナメントの増田プロとの対局
そしてついに2017年6月26日、竜王戦決勝トーナメントでの増田康宏四段戦にて歴代最多の29連勝となるかどうか?と大々的にニュースや下記AmebaTVなどでLive中継が実施されました。
視聴者の数も21時の時点ですがAmebaTVだけでも140kと14万人もの人がリアル中継を見ていた計算となります。
出典:AbemaTV
また今回はAmebaTVだけではなく、ニコニコ生放送や将棋プレミアムでも生中継が実施されていたので実際はこれ以上の人数になっていたかと...
対局は深夜21時30分近くまでに及び、そしてついに91手目▲3八飛打にて...
出典:AbemaTV
藤井聡太四段の勝ち&歴代最多連勝記録達成!
出典:AbemaTV
30年間破られることのなかった連勝記録「28」を突破、29連勝という新記録樹立を達成いたしました。
29連勝ですが、
- 2016年12月24日〜2017年6月26日
の約半年かけて達成したいという形になります。すでにプロになってからすでに29局も対戦し、29連勝勝率10割って凄すぎですよね。
連勝記録達成までの対戦一覧
さて、この29連勝という記録ですが対戦相手や棋戦名などが少々気になる所。
下記にわかりやすく日程と棋戦名・対戦相手を表にしてまとめてみました。スマートフォンなどで表が途中で途切れる場合は一度横向きにして見ていただければと思います。
いや、本当に白星だらけで凄いの一言ですね。
番号 | 日程 | 棋戦名 | 対戦相手 | 勝敗 |
1 | 2016年12月24日 | 竜王戦6組ランキング戦 | 加藤一二三九段 | ○ |
2 | 2017年1月26日 | 棋王戦予選 | 豊川孝弘七段 | ○ |
3 | 2017年2月9日 | 竜王戦6組ランキング戦 | 浦野真彦八段 | ○ |
4 | 2017年2月23日 | NHK杯予選 | 浦野真彦八段 | ○ |
5 | 2017年2月23日 | NHK杯予選 | 北浜健介八段 | ○ |
6 | 2017年2月23日 | NHK杯予選 | 竹内雄吾四段 | ○ |
7 | 2017年3月1日 | 王将戦予選 | 有森浩三七段 | ○ |
8 | 2017年3月10日 | 新人王戦 | 大橋貴洸四段 | ○ |
9 | 2017年3月16日 | 竜王戦6組ランキング戦 | 所司和晴七段 | ○ |
10 | 2017年3月23日 | 棋王戦予選 | 大橋貴洸四段 | ○ |
11 | 2017年4月4日 | 王将戦予選 | 小林裕士七段 | ○ |
12 | 2017年4月13日 | 竜王戦6組ランキング戦 | 星野良生四段 | ○ |
13 | 2017年4月17日 | NHK杯1回戦 | 千葉翔太六段 | ○ |
14 | 2017年4月26日 | 棋王戦予選 | 平藤真吾七段 | ○ |
15 | 2017年5月1日 | 竜王戦6組ランキング戦 | 金井恒太六段 | ○ |
16 | 2017年5月3日 | 新人王戦 | 横山大樹アマ | ○ |
17 | 2017年5月12日 | 王将戦予選 | 西川和宏六段 | ○ |
18 | 2017年5月18日 | 加古川清流戦 | 竹内雄悟四段 | ○ |
19 | 2017年5月25日 | 竜王戦6組ランキング戦決勝 | 近藤誠也五段 | ○ |
20 | 2017年6月2日 | 棋王戦予選 | 澤田真吾六段 | ○ |
21 | 2017年6月7日 | 上州YAMADAチャレンジ杯 | 都成竜馬四段 | ○ |
22 | 2017年6月7日 | 上州YAMADAチャレンジ杯 | 阪口悟五段 | ○ |
23 | 2017年6月7日 | 上州YAMADAチャレンジ杯 | 宮本広志五段 | ○ |
24 | 2017年6月10日 | 叡王戦段位別予選 | 梶浦宏孝四段 | ○ |
25 | 2017年6月10日 | 叡王戦段位別予選 | 都成竜馬四段 | ○ |
26 | 2017年6月15日 | 順位戦C級2組 | 瀬川晶司五段 | ○ |
27 | 2017年6月17日 | 朝日杯将棋オープン | 藤岡隼太アマ | ○ |
28 | 2017年6月21日 | 王将戦一次予選 | 澤田真吾六段 | ○ |
29 | 2017年6月26日 | 竜王戦決勝トーナメント | 増田康宏四段 | ○ |
祝福コメント
28連勝達成時に有名プロ棋士&神谷八段から祝福のコメントが寄せられていますので下記に紹介しておきたいと思います。
佐藤康光日本将棋連盟会長・九段
14歳という若さでこの偉大な記録に並ばれましたことに敬意を表します。次局も大変な注目が集まるかと思いますが、全力を出し切ってもらいたいと願います。
羽生善治三冠
神谷八段の偉大な記録に並ぶとは驚嘆の一語に尽きます。
谷川浩司九段
普通の棋士ではなかなか経験できない貴重な半年間を、大きな財産として、将来に生かしてほしいと思います。
扇子の言葉の通り、大きな志を持って時代を築ける棋士を目指してください。
神谷広志八段
こういう日が来るかもしれないと考えていましたが、まさかデビューから無敗で並ぶ人がいるとは夢にも思いませんでした。
将来のスーパースターと一瞬でも肩を並べることができてとても光栄です。
将棋歴代連勝記録ベスト10をご紹介
さて、藤井聡太プロの29連勝を紹介しましたが、過去のプロ棋士連勝記録ってどうなっているんだろうと気になった方も多いかと。
下記に歴代連勝記録ベスト10を表にしてまとめて見ました。こちらも途中で画面が切れてしまう方はスマートフォンを横向きにして閲覧お願いします。
順位 | 期間 | 棋士名 | 連勝数 |
1 | 2016年〜2017年 | 藤井聡太 | 29 |
2 | 1986年〜1987年 | 神谷広志 | 28 |
3 | 1994年 | 丸山忠久 | 24 |
4 | 1986年 | 塚田泰明 | 22 |
4 | 1992年 | 羽生善治 | 22 |
4 | 2002年〜2003年 | 山崎隆之 | 22 |
7 | 1984年 | 有吉道夫 | 20 |
8 | 1987年〜1988年 | 羽生善治 | 18 |
8 | 1991年 | 中田広樹 | 18 |
8 | 1999年 | 丸山忠久 | 18 |
8 | 2005年 | 羽生善治 | 18 |
8 | 2010年〜2011年 | 永瀬拓矢 | 18 |
羽生さんは実に3回、丸山さんは2回登場していますね。さすがトッププロ棋士。それでも20連勝ちょっとが限界ですよね。
やはりトッププロ棋士になってしまうと対戦相手もA級や1組などでトッププロ棋士同士で対戦することになる&タイトル戦もあるので、そうそう連勝させてくれるはずもありません。
藤井聡太プロは2回、3回とここに名を残していけるか...今後の活躍に注目ですね。
TIPS:トッププロとのイベント対局や販促物など
AmebaTV 炎の七番勝負
出典:AbemaTV
こちらは別記事にてご紹介しましたが、まだそこまで有名になっていなかった(とはいっても数ヶ月前なんですけどね...)時に非公式試合としてAbemaTV主催で開催された夢の対局「炎の七番勝負」をご存知の方も多いのでは。折角なのでこちらも少しご紹介しますね。
こちら非公式ながら若手実力者始め、タイトル戦にも出場した事のある中村大地六段、順位戦A級の深浦康一九段、将棋連盟会長&永世棋聖を保有している佐藤康光九段、そして将棋界トップを20年以上走り続ける羽生善治三冠と藤井聡太プロとトップ棋士との対戦が用意されました。この時から中学生棋士という事で、今程ではないですが注目されていました。
特に最終回の第7局はものすごい観戦数(終局時に58万人の方がリアルタイムで視聴)となり、そして結果羽生三冠を撃破するといったまるで作ったかの舞台劇となりました。
炎の七番勝負の結果は下記。
番号 | 日程 | 棋士名 | 勝敗 |
第1局 | 2017年3月12日 | 増田康宏四段 | ○ |
第2局 | 2017年3月19日 | 永瀬拓矢六段 | ● |
第3局 | 2017年3月26日 | 斉藤慎太郎六段 | ○ |
第4局 | 2017年4月2日 | 中村大地六段 | ○ |
第5局 | 2017年4月9日 | 深浦康市九段 | ○ |
第6局 | 2017年4月16日 | 佐藤康光九段 | ○ |
第7局 | 2017年4月23日 | 羽生善治三冠 | ○ |
第2局は惜しくも負けましたが、トッププロが含まれているこの七番勝負で何と6勝1敗。mog自身もリアルタイムで見ていたのですが、本当に強い。最終局はAI将棋を思わせるような見事な角切りなど見応え満点でした。
詳しくは下記記事に纏めていますので良ければどうぞ。
藤井プロのサイン入り扇子
出典:AbemaTIMES
連勝を重ねる毎に人気が高まる藤井フィーバー。そしてついにグッズが登場しました。
- 藤井四段直筆扇子
- 【揮毫】『大志』
- 2017年6月7日12時より東京・将棋会館、関西将棋会館で販売開始。日本将棋連盟のオンラインショップでは2017年6月8日(木)から販売。※お一人様1本のみ購入可能
- 値段:2,268円(税込)
さて、どうなったと思います??何となく想像出来ますよね。
7日の現地では約40分で完売。8日のオンラインショップでは販売スタートとほぼ同時に秒殺売り切れ...その結果2017年6月26日現在...
- 転売屋&オークションにて15,000円以上で取引中
という自体に発展。今後再入荷もする予定らしいですが、ここまでプレミアが付いてしまうとは...
藤井聡太プロのクリアファイルも発売♪
出典:AmebaTIMES
そしてそして、グッズ第2弾も発売。その名も「藤井聡太クリアファイル」。扇子はとても入手出来る状態ではなさそうですが、クリアファイルはどうなんでしょう...けど、何となく想像着きますよね。
第1弾 2017年6月12日
6月12日に東京将棋会館で午前10時から売り出され、用意した380枚が完売。オンラインショップでも同日から販売されたが、こちらも200枚が売り切れ。
第2弾 2017年6月19日
6月19日に東京将棋会館に500枚が再入荷され販売。1枚324円のクリアファイルは1人5枚まで購入可能。中には何枚も買い求めるファンの姿が見られた。この500枚も販売開始から約5時間ですべて売り切れ。
さて、その結果どうなったんでしょうか...こちらも2017年6月26日現在...
- 1枚324円のクリアファイルが2,000円近くで取引中
扇子が7倍近くの価格設定、クリアファイルも6倍以上のプレミア価格が...汗
けど欲しい人の手元にこういったグッズは届いてほしい物ですね。転売目的で購入されると、元々数が500個程度なので直ぐに手に入らなくなってしまいますよね...まぁ考え方は色々あるとは思いますが...
将棋歴代最多連勝記録を樹立した藤井聡太プロ。最近連日テレビで見る事が多くなり、今後の活躍が本当に楽しみです。
棋戦も予選を勝ち抜き、順位戦や竜王戦でもトッププロ棋士の中に入るのは時間の問題かも知れません。
順位戦はA級までいくのに5年最低でもかかりますが、もしかしたら史上初の10代名人誕生なんて事にもなるかも知れませんよ。今後も応援しています。
(2024年追記:ついに将棋タイトルを全て独占するという偉業「八冠」を達成しましたね。本当に素晴らしい!)